動的な価格設定で新世代の配車システムを活かせ!

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2020.04.10
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Castillo, Juan Camilo, Dan Knoepfle and E. Glen Weyl (2017) “Surge Pricing Solves the Wild Goose Chase,” Working Paper.

野田俊也

$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$

海外におけるライドシェア市場の隆盛

近年、米国をはじめとする海外諸国で、Uber や Lyft などのライドシェアサービスが隆盛をきわめている。ライドシェアとは、乗客の目線から見るとタクシーに代替するサービスであるが、その主な違いは、①近くにいる車を捕まえるのではなく、スマートフォンのアプリを通じて配車を依頼し、出発地まで呼び出すこと、②依頼した時点で乗客に乗車料金の見積もりが提示されること、③運転手の多くはタクシードライバーのような専業運転
手ではないこと、の 3 点である。

Uber などのライドシェアのプラットフォームは、需要が高まるラッシュアワーなどで、乗車料金を通常より高くする混雑時値上げ(surge pricing)を行っている。需要が大きいときに価格を釣り上げて需給を均衡させる混雑時値上げ自体は、古典的な政策であり、電力市場などですでに導入事例もある。しかし、Castillo, Knoepfle and Weyl (2017)は、ライドシェア市場においては、需給の状況に対して価格が安すぎる場合、きわめて非効率な均衡に陥ることを示し、状況に応じた動的な価格設定の果たす役割が他の市場以上に大きいことに明らかにした。

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