『[新版]進化する経済学の実証分析』(編:経済セミナー編集部 )
一冊散策| 2020.08.21
まえがき
2000 年代以降,多様な大規模データが利用可能になると同時に,因果推論手法の発展,さらにはコンピュータとソフトウェアの著しい機能向上も相まって,経済学における実証研究は著しい進化を遂げています.
近年の経済学を席巻する代表的な実証分析手法について,それぞれの特徴や進化の経緯を概観し,さらに,それらの手法が経済学の諸分野においてどのように用いられているのかを横断的に紹介する目的で,経済セミナー増刊『進化する経済学の実証分析』は 2016 年に刊行されました.
本書は,好評を博した本増刊号を増補改訂のうえ,『[新版] 進化する経済学の実証分析』として単行本化したものです.単行本化にあたり, 2016 年以降のさらなる進展についてカバーするために,新たなインタビューや論文を加えるとともに,旧版掲載論文の増補改訂や補論の追加を行いました.
近年高い関心を集める機械学習やビッグデータの活用, 2019 年ノーベル経済学賞によりますます勢いを増す RCT (ランダム化比較試験) 研究,政策現場と研究をつなぐ取組みとして議論が花盛りである「エビデンスに基づく政策立案 (EBPM)」,そして,いま世界を揺るがす新型コロナウイルス感染症への経済学の向き合い方など,ホットなトピックもふんだんに盛り込まれ,まさに経済学の実証分析のフロンティアがこの 1 冊に詰まっています.
旧版をお読みいただいた読者にも,この新版で初めてお読みいただく読者にも,経済学の実証研究の進化の勢いとその魅力を肌で感じていただければ幸いです.
2020 年 7 月
経済セミナー編集部
目次
- 第I部:基本をおさえる
- 鼎談
- 実証分析が切り拓く経済学の未来: 奥井亮 × 川口大司× 古沢泰治
- インタビュー
- 経済学における実証分析の新たな潮流:伊藤公一朗
- 経済学はリアルワールドとどう向き合うべきか:野口晴子
- 実証分析手法の現在
- 経済学における実証分析の進化:澤田康幸
- 応用ミクロ計量経済学の手法と論点:北村行伸
- 経済学における実験的アプローチ:下村研一+瀋俊毅
- 機械学習と計量経済分析のこれから:新谷元嗣
- 実証分析をめぐるさまざまな論点
- 識別とは何か:奥村綱雄
- 「誘導型推定」vs.「構造推定」:中嶋亮
- 開発経済学における計量的アプローチと実験的アプローチ:樋口裕城
- RCTによる開発経済学研究の来し方行く末:會田剛史
- ルーカス批判とマクロ経済分析:渡部敏明
- 評価装置としての経済モデルとカリブレーション:山田知明
- 第II部:最先端を知る
- 各分野の実証研究
- マクロ経済学:阿部修人
- ファイナンス:柴田舞
- 行動経済学:大垣昌夫
- 産業組織論:今井晋+加納和子+南橋尚明
- 労働経済学:小原美紀
- 開発経済学:伊藤成朗
- 教育経済学:中室牧子
- 医療経済学:花岡智恵
書誌情報など
- 『[新版]進化する経済学の実証分析』
- 編:経済セミナー編集部
- 紙の書籍
-
予価:税込 1,980円(本体価格 1,800円)
-
発刊年月:2020.08(中旬)
-
ISBN:978-4-535-55976-9
-
判型:B5判
-
ページ数:176ページ
-
- Amazonで紙の書籍を購入
- 楽天ブックスで購入
- セブンネットショッピングで購入
- hontoで購入