(第7回)フランス現代思想が難しくて

人文的な数学の話(井ノ口順一)| 2021.04.16
文学を読んでいても,人文・社会系の本を読んでいても,ついつい数学の目で見てしまい,いつの間にか話が数学になってしまいます.意外や意外,数学の話題が溢れているのです.数学者になってしまったばかりに気になってしまうことを日常生活のひとこまや読書を通じてご紹介していきます.ときどきはディープな話題に迷い込むかもしれません.

2020 年 9 月に講談社学術文庫から,渡辺公三著『レヴィ=ストロース 構造』が刊行されました.1996 年に出版された本の文庫化です.タイトルにある「構造」は構造主義 (structuralism) を指しています.レヴィ=ストロース (Claude Lévi-Strauss, 1908–2009) は構造主義の創始者のひとりとして知られています.この本を読み進めるとレヴィ=ストロースの著書『親族の基本構造』が登場します.すると必然的に私は数学モードに入ってしまいます.

『親族の基本構造』はオーストラリア先住民の婚姻制度を研究して執筆された博士論文を 1949 年に出版したものです.

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井ノ口順一(いのぐち・じゅんいち)
1967 年千葉県銚子市生まれ.東京都立大学大学院理学研究科博士課程数学専攻単位取得退学.現在,筑波大学数学域教授.
教育学修士(数学教育), 博士(理学).専門は可積分幾何・差分幾何.
著書に『リッカチのひ・み・つ---解ける微分方程式の理由を探る』(日本評論社, 2010),『どこにでも居る幾何---アサガオから宇宙まで』(日本評論社, 2010),『曲線とソリトン』(朝倉書店, 2010),『常微分方程式NBS』(日本評論社,2015),『初学者のための偏微分∂を学ぶ』(現代数学社,2019)等.
日本カウンセリング・アカデミー修了, 星空案内人(準案内人), 日本野鳥の会会員.