鼎談:経済学を役立つ道具にするために(経済セミナー2021年6・7号)
特集から(経済セミナー)| 2021.05.26
注目されるビジネスや政策の現場での経済学活用。先進事例が華々しい一方、その普及はまだ始まったばかりだ。本号では、経済学のビジネス実装をリードするサイバーエージェントの森脇・安井両氏と、日本で経済学の社会実装推進を目指す東京大学の小島氏に、実際にプロジェクトを進める中で感じる課題や克服の伴とともに、今後の展望を討論いただいた。
1.はじめに
—まずは皆さまの自己紹介から、よろしくお願いします。
小島 小島です。東京大学経済学部を卒業してからアメリカに行き、ハーバード大学で経済学の博士号を取得しました。その後は主にスタンフォード大学経済学部で約 11 年働き、2020 年秋に東大に着任しました。専門はマッチング理論と、そのマーケットデザイン (制度設計) への応用です。マッチング理論は本日のテーマである「社会実装」とつながりの深い理論で、人やモノをどのようにうまくつなげて適材適所に配置するか、そのための仕組みをどのように設計すればよいかを研究しています。