(第2回)太陽風
地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2022.06.13

(毎月中旬更新予定)
地球の極域に見られるオーロラの源は,太陽面から噴き出す太陽プラズマ,つまり電子と陽イオンの混合粒子流であって,“太陽風” と呼ばれるものである.この太陽風は,太陽磁場を惑星間空間へ運び出して惑星間空間磁場を形成するが,その行き着く先はいずこにあるのか,探ってみることにしよう.
太陽風の発見
太陽面でフレアが発生すると,その数日後に地球で磁気嵐1)が発生することから,20 世紀中葉までは,フレア発生時にのみ太陽から高速の粒子が吹き出して来ると考えられていた.しかし,地球科学者ビアマンは彗星の尾を詳細に調べた結果,太陽からつねに何らかの荷電粒子が吹き出しているのではないかと推測していた.
脚注
1. | ↑ | 磁気嵐とは,地磁気の定常的な日変化が著しく乱れる現象を指す. |

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.