鼎談:再現性の問題にどう向き合うか?(経済セミナー2022年6+7月号)

特集から(経済セミナー)| 2022.05.25
経済セミナー』の特集に収録されている対談・鼎談の一部をご紹介します.

(奇数月下旬更新予定)

近年、心理学における「再現性危機 (replication crisis)」の問題を皮切りに、改めて科学的な知見の再現可能性に注目が集まっている。再現性危機とはそもそもどういう問題で、研究の世界や研究成果を活用する現場にどのような影響をもたらすものなのか。それに対して、どんな対策がとられているのか。経済学、会計学分野で実験室実験、フィールド実験、観察データによる実証研究に従事する専門家 3 名が、さまざまな視点から議論する。

1 はじめに

—まずは、皆さまのバックグラウンドやご関心など、自己紹介からお願いします。

川越 公立はこだて未来大学の川越です。専門はゲーム理論、実験経済学で、1990 年代から主に実験室実験を行ってきました。実験方法論や実験計画法などにも関心を持って取り組んできた経緯から、昨今の「再現性問題」にも注目しています。また、マーケットデザインやメカニズムデザインにも関心を持ち、ゲーム理論や実験研究を応用することで、マッチング、オークション、投票など現実の問題における制度設計や制度の評価にも取り組んでいます。

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