鼎談:バブルの経済学がめざすもの(経済セミナー2023年10+11月号)
特集から(経済セミナー)| 2023.09.25
「バブル」という言葉にどんなイメージをお持ちだろうか。何かが急に注目を浴びて流行り出したりするような状況を指す一般的な言葉として捉える方もいれば、日本がかつて直面した不動産バブル、米国のITバブルや世界金融危機のきっかけとなった住宅バブルや信用バブルなどが真っ先に思い浮かぶ方も少なくないかもしれない。
今回は、「経済学から見たバブル」にフォーカス。経済学の理論を通すことで見えてくる本質や課題、新たな発見に迫る。
1 はじめに
—本日は「バブル」をテーマに、経済学はこれまでバブルをどのように捉えてきたか、現実のバブルの理解や政策対応にどう貢献できるのか、今後の日本経済を考える際にバブルの経済学はどんな知見を提供しうるのか、といったテーマを軸にディスカッションをいただきます。まずは、自己紹介からお願いします。
青木 東京大学の青木です。専門はマクロ経済学で、主に金融政策や金融市場と実体経済の相互連関についての理論研究に取り組んでいます。バブルに関しては、「どのようなバブルが私たちにとって危険なのか?」という問いを立て、理論研究を行っています。特に、金融機関がバブル資産に投機するメカニズムの解明に焦点を当ててきました。日本は 1980〜90 年代に不動産バブルに直面しましたが、その経験を理解したかったというのが、私がバブルの研究に取り組むようになったきっかけです。