(第17回)人工授精、体外受精・胚移植が可能にしたこと:代理母・借り腹出産

ヒトの性の生物学(麻生一枝)| 2025.01.16
LGBTQ,少子高齢化,男女共同参画など,議論の的となっている社会テーマの多くは,ヒトの性と関係しています.「自分がどのようにして (how),自分になったのか」を知ることは,性的マイノリティの自己の確立に大きく影響し,また,年齢に伴う卵子や精子の老化は,私たちがどのようにキャリア形成とプライベートな生活 (結婚や家庭をもつなど) を両立していくかを考える上で,避けては通れない生物学的事実です.しかし現実には,様々な議論が,生物学抜きで,あるいは生物学の誤った解釈の下におこなわれており,責任ある立場の人々の誤った言説もあとを絶ちません.
このシリーズでは,私たちの人生に密接に関係する「ヒトの性に関する生物学的知見」を紹介していきます.

(毎月中旬更新予定)

Consequenceコンセクエンス という英単語をご存じだろうか。接頭辞の con は with (一緒に、ともに) という意味を、sequence は連続するもの、ひと続きのものという意味をもつ。ネットで consequence を調べてみると、

  • (行動や状況から必然的に導かれる) 結果、結論、帰結[1]
  • 事前の行動や状況などがもたらす事態、つまり、結果、という意味で、特に好ましくない結果をさすときに使います[2]

といった説明が見つかる。ある行動や状況によって次々と引き起こされていく事象、というイメージの単語である。

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麻生一枝 サイエンスライター,成蹊大学非常勤講師. お茶の水女子大学理学部数学科卒業,オレゴン州立大学動物学科卒業,プエルトリコ大学海洋生物学修士,ハワイ大学動物学Ph.D. (研究テーマは魚類の性分化・性転換).「健全な科学研究における統計学や実験デザインの重要性」「ジェンダー研究における生物学の重要性」という 2 つのテーマで活動してきている.著訳書に『科学でわかる男と女になるしくみ』(SBクリエイティブ),『生命科学の実験デザイン』(共訳,名古屋大学出版会),『科学者をまどわす魔法の数字,インパクト・ファクターの正体---誤用の悪影響と賢い使い方を考える』(日本評論社),『データを疑う力』(東京図書出版) など.