企画趣旨(樋口亮介)/因果関係の論証パターン(大関龍一)(特集:刑法研究者が作った論証パターン)

特集から(法学セミナー)| 2024.11.12
毎月、月刊「法学セミナー」より、特集の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆この記事は「法学セミナー」839号(2024年12月号)に掲載されているものです。◆

特集:刑法研究者が作った論証パターン

刑法の答案の書き方、悩んでいませんか?

学説史・判例の双方を踏まえた論証パターンを学べる、司法試験受験生必見の企画。

――編集部

企画趣旨(樋口亮介)

1 論パを研究者が作った理由

定価:税込 1,540円(本体価格 1,400円)

司法試験予備校が提供する論証パターン(以下、論パ)の丸暗記を貼りつけた答案が目に付き、「金太郎あめ答案」との揶揄もある。

しかし、論パ学習を悪者扱いすることに合理性はない。法律学習にあたって、判例学説を理解した上で、その内容をコンパクトにまとめることは必須である。事例問題で出題される論点が多岐にわたる以上、判例学説を短い説明に落とし込んだ論パの準備は不可欠であろう。もっとも、研究者からみれば、判例学説の十分な理解を示すだけの論パを予備校が提供できていない論点はある。

そこで、本企画は、判例学説を消化した論パを提供することを試みた。論パが理解を伴わない暗記の対象にならないように、解説を行った後に論パを置いている。

2 刑法の論パ作成の難点と対応方法

刑法の論パ作成では、簡素な刑法典を補充するために発展した判例が中心的素材となる。もっとも、刑法判例は規範や理由を示さずに、当該事案で結論を導くために必要な事情を指摘するにとどめる事例判断が少なくない。事例判断は、事案ごとの個性を斟酌した解決を示すとともに、今後の議論の発展を待つ点で賢明なものといえる。しかし、判例ベースで論パを作成するには、判例を論パにどのように組み込めばよいかが難題になる。

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